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552話

李南方の印象では、「谷」というものはどれも広々としたものではなく、「溝」と似たようなものだった。

女の子の胸の二つの山の間にある谷が広すぎたら、それはつまらないものではないか?

しかし彼が灰色谷にやってきて初めて、その考えが完全に間違っていたことを知った。

これが「谷」と呼べるのか?

平原と呼ぶべきだろう!

デイビッドが車を停めたこの場所から、左右どちらに向かっても、李南方がハマーを全速力でまっすぐ走らせたとしても、少なくとも30分は山の麓に着くまでかかるだろう。

見渡す限り、至るところに石が山のように積み上げられていた。最大のものは庭園の假山ほどの大きさで、最小のものでもサッカーボールほどあ...