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550話

古物は骨董品であり、専門家の鑑定は不要だった。李南方はただ彼の嗅覚だけで確信していた。

しかし巻物には落款も題詠もなく、花の鍬を担いだ美女と三本の線香が立てられた香炉が描かれているだけで、李南方にはこれが中華の歴史上どの大家の筆によるものなのか見当もつかなかった。

だが誰が描いたにせよ、たとえ無名の者であっても、この神業とも言える画技だけで、古今東西の画壇で十分に名を馳せられるだろう。

「これは良い品だ。いくら積まれても売るべきではない。家宝として師母に渡し、代々伝えていくべきだな」

そう決意すると、李南方は慎重に巻物を巻き、再び新聞紙で包み、身に着けて大切にしまった。さらに不安になり...