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540話

李南方は振り返る必要もなく、背後からも人の気配を感じていた。

背後の人物が音もなく現れ、彼の退路を塞ぎながら放つ殺気は、今まさに彼が視線を固定している笑面蛊神に少しも劣らなかった。

だからこそ、彼は絶望を鮮明に感じ取っていた。

笑面蛊神一人だけでも全力で対処しなければならないのに、背後の人物まで出てきたら、李南方には死を待つしかなかった。

振り返らなかったのは、振り返る勇気がなかったからだ。

少しでも動けば、致命的な隙を見せることになる。

十数メートルの距離は、一見すれば安全で逃げられそうに思えるが、極限の達人にとっては一瞬で詰められる距離に過ぎない。

彼らは何者なのか?

李南方の瞳孔が急激に...