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428話

南部山地は青山の空気の質を守る後庭園のようなもので、特に秋の爽やかな季節には、夜10時の星空が濃紺の鏡のように、目が痛くなるほど星が輝いていた。

両手を頭の後ろに組み、草むらに寝そべり、口に草の茎をくわえ、片足を組んで、そばを流れる小川のせせらぎや、あと数日で鳴き止むであろう虫の声を聞きながら、鼻歌で「妹が兄を想い涙する」なんて歌を歌う——この境地は、まさに俗世を超越したものだろう。

特に岳総裁のような、常に都会で暮らし、より良い生活のために必死に働く人間にとって、たまに人里離れた場所で星空を眺めながらぼんやりし、そよ風を感じることは、世俗に汚された魂を最高に浄化してくれるはずだった。

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