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373話

最高現役がいかなる任務で外出する際も、荊紅命のところで届け出なければならない。

そのため荊紅命は誰よりも明確に、外出している最高現役たちがどのような命令を遂行しているかを把握している。それらは内部にも記録され、警備局の最高機密書庫に保管されているのだ。

どの時代においても、権力を私用する行為が欠けることはない。最高現役を勝手に使って、本来の職務とは無関係なことをさせるのも、まさに権力の私用だ。

表面上は冷淡で融通が利かないように見えて、実は誰よりも物事の処し方を心得ている荊紅命は、こういった事態に遭遇するたびに知らないふりをし、干渉しない——少なくとも表立っては干渉しな...