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337話

「会員向けの最高級会員、VIP専用エレベーターが用意されているのは、各高級クラブでは珍しくないことだった。

今夜はあいにく、専用エレベーターに故障が生じ、クラブ側が緊急修理中だった。

現在は十時過ぎ、まさにクラブのゴールデンタイムの始まりで、ロビーは人の出入りが絶えず、エレベーター前には多くの人が列を作っていた。みな洗練された装いで、品位と格式を感じさせる紳士淑女の姿だった。

「階段を使いましょう」

入ってからずっと頭を下げ、まるで泥棒のようにしていた岳梓童は、あちらで列に並ぶつもりはなかった。もし誰かに気づかれでもしたら、彼女の名声は一瞬にして地に落ちてしまうではないか。

「マジか...