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2370話

「俺は夢でも見てるのかもしれねぇ」

いくら心の準備をしていたとはいえ、命がけで海底トンネルを抜け、目の前の光景を目にした李南方は、まるで夢を見ているような錯覚に襲われた。

この目で見なければ、深海の底にこんな世界が存在するなど、誰が想像できるだろうか?

長年にわたり、世界中にアトランティスの伝説が語り継がれてきた。

想像力豊かな者なら、いつか海に沈んだアトランティスへの三日間の家族旅行を夢見るかもしれない。

ここ、飄渺郷に来ればいい!

飄渺郷は、誰もが思い描くアトランティスの姿そのものだった。

淡い白い霧が、一望の限りに広がる森や荒れた草原に立ち込めている。

時折、狐の鳴き声が白霧の最...