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2353話

酔いつぶれかけた人は何かを掴もうとするものだ。それは当然のことだろう?

溺れる者は藁をも掴むというが、死ぬまで手放さないものだ。

だから、李南方が倒れそうになって慌てて何かを掴んだとしても、特に力を入れたとしても——それは別に間違ったことじゃない。

せいぜい、溺れる者が藁を掴もうと木の板を掴もうと何の感触もないだろうが、李南方が掴んだこの物は——ああ、この感触は言葉にできないほど素晴らしいものだった。

彼がそう感じた瞬間、痛いという可愛らしい悲鳴が聞こえた。

何が痛い?

李南方は一瞬固まり、振り返って見ると、自分が掴んでいたものが、とても言葉にできないものだと気づいた。

女将はト...