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2334話

青灵県

ここは華夏の最南端の海域である。

タクラマカン砂漠が単に西北部のある県の管轄区域であるように、青霊県の版図もまた広大だ。

楊甜甜は幾日かかったのか分からないほどの時間をかけ、野獣のように昼は隠れ夜に動き、どれほどの苦労を重ねたかも分からない。ただひたすら首を長くして待ち望みながら、文字通り自らの両足で華夏の最北端から青霊県までやってきたのだ。

彼女がここに来たのは、人を待つためだった。

誰を?

彼女と一体どんな関係なのか誰にも分からない李南方を待っているのか、それともとうに海の藻屑となった岳梓童の遺体が打ち上げられるのを待っているのか?

彼女は語らない。

誰も尋ねる...