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227話

「月月」という名前は、青山市の若くて綺麗な女の子たちと同じように、ありふれていて、曖昧なものだった。

青山に出稼ぎに来たこの二人の田舎者の左官工は、月月が黒いコートを着て、大きなサングラスをかけていて、若くて綺麗だったとしか言わなかった。要するに、美女と真っ赤な札束に目がくらんで、車のナンバーすら覚えていなかったのだ。

それに白警官は激怒し、ようやく意識を取り戻したもう一人にも容赦なく何発か蹴りを入れ、泣かせてしまった。

「てめぇら、こんな体たらくで国家安全部の人間を名乗るとは、いつか死ぬときどう死ぬか分からねぇぞ」

さらに二発蹴りを入れてから、白警官はようやく気分がすっきりしたように...