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2107話

王陽は楊逍を知っていた。

かつて金三角で、あの魔物が前に立ちはだかった圧倒的な強さに、王陽の自信は完全に打ち砕かれ、自殺寸前まで追い込まれたのだ。

幸い、荊紅命が後に彼女の自信を取り戻す手助けをしてくれた。

しかし再びあの魔物と対面するとなると、王陽は恐怖を感じずにはいられなかった。

銃を握る手が微かに震えていた。

楊逍は岳梓童の側近の護衛にはほとんど印象を持っておらず、この娘を完全に空気のように扱い、大股で前へと歩いていった。

岳梓童も楊逍の姿を見つけた。

王陽のさっきの動きが岳おばさんの警戒心を呼び起こし、後ろめたいことをしてきた彼女は誰かに暗殺されるのではないかと心配し、大声で助けを呼...