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2022話

車はゆっくりと螺旋状の下り坂を進んでいた。

パトカーがサイレンを鳴らしながら反対車線を通り過ぎていく。

李南方はちらりと一瞥し、心の中で冷笑した。

これでちょうどいい。わざわざ通報する手間が省けるというものだ。

明珠市の警察が、市政府の大幹部が両腕を失い、屋上で気絶している姿を見つけたとき、さらに周囲に散らばる多くの死体を目にしたとき、どんな衝撃を受けるだろうか。

李南方は屋上で起こりうる光景を想像し、急に気分が良くなった。思わず隣に座るセリーナに顔を向け、笑いながら尋ねた。「なぜ彼を殺さなかったんだ?お前が銃を隠し持っていたのを覚えているぞ」

「エンジェルのためよ」

セリーナは車の窓ガラス...