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1801話

クレタ島の南部海域に浮かぶそれらの船は、最も古いものでおよそ三十年前にここに放棄されたものだった。

三十年という歳月は、たとえ冷凍庫に保存された圧縮食品でさえ、カビが生え腐敗してしまうほどの時間だ。

まして、かつての粗雑な作りの民間輸送船ならなおさらだ。

一人や二人程度の重さなら、さほど問題は見られないかもしれない。

だが、船首や船尾といった、すでに非常に脆くなっている場所に、約一トンもの重量物を置くと、わずかな風や動きでさえ、予測不可能な恐ろしい結果を引き起こす可能性があった。

蛮牛が後続の者たちに仕掛けた障害は全部で二か所。

一つは明らかな障害物で、例えばロシア人たちが片付けた...