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1774話

楊逍は去った。

沈軽舞が服を半ば脱いでいるところで、目を逸らさずに彼女の傍らを通り過ぎた。

どうやら半周ほど回り込んで、李南方を探すつもりらしかった。

楊逍が何をしようとしているのか、沈軽舞には分からなかった。

知りたくもなかった。

今の彼女は人を殺したい気分だった。楊逍を、李南方を、そして彼女の目障りになる全ての人間を殺してやりたかった。

沈お嬢様がどれほど高貴な存在か。

中華全土はおろか、世界中どこへ行っても彼女は堂々と振る舞えるほどの人物だ。

はっきり言えば、英三島の皇室女王に対しても、沈軽舞は一片の遠慮も示さないだろう。

そんな身分高く、プライドの高い女性が、路端の夜の蝶のふりをして...