Read with BonusRead with Bonus

1654話

障害物なんて、ありふれたものだ。誰でも刑事映画で見たことがある。

そうなると、みんな分かっているはずだ。刑事映画の障害物は突破されるためにあるものだ。

突き破られない障害物など、車を止めたとは言えないだろう。

だから、沈国康は部下の報告を聞くと、迷わず叫んだ。「突っ切れ!」

当たり前だ、沈国康がどんな立場の人間か考えれば。

他人に障害物を設置するのは彼の役目であって、誰かが彼の行く手を阻むなど考えられない。

それに、老沈の尻の下に座っているのは軍用車だ。

ブオンという轟音とともに、猛虎自動車が疾走していった。

ただひとつ不協和音があるとすれば、障害物を設置した青山交通警察は、それらの障害物に本...