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1640話

李南方は臆病で弱い人間ではなかった。

むしろ、自分は強いと思っていた。自分の体内に黒龍が潜んでいることを明確に知り、しかもその黒龍を自在に抑えられる者が、この世で最も強い男だと思わない者がいるだろうか。

過去十年間、李南方は何事も自分を打ち負かすことはできないと常に信じていた。

だから、現実の打撃に耐えられず、これは全て夢で、目が覚めれば日々は良くなると幻想する人々を見ると、鼻で笑い、心の中で「役立たず」と罵ることさえあった。

今になって、彼は後悔していた。

誰かを嘲笑うべきではなかったと。

諺にもある通り、「天道は無限に大きく、人力には限りがある」。

この天地に生きる者は誰しも、突破できない...