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154話

李南方は女性の声の特徴など気にもしていなかった。彼にとっては、自分のチケットを買ってくれさえすればそれでよかったのだ。彼は笑顔で頷いた。「へぇ、あなたは目の利く方だね。そう、最高の位置のVIPチケットだよ。アイドルと近距離で交流できて、もしかしたら一緒に写真を撮ることだってできるかもしれない」

自分が悪徳ダフ屋ではないことを示すため、李南方は自分を展妃のアイドルのために、親の恨みも厭わず彼女を崇拝する熱狂的なファンだと言い、ダフ屋から8万元もの高額で2枚のVIPチケットを購入したのだと説明した。

ところが人間の計画など天の配剤にはかなわないもので、アイドルへの崇拝の気持ちを抱えて会場に入ろ...