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1441話

月が高く昇っていた。

山頂の展望台から遠くの市街地を眺めると、点々と灯りが見える。

しかし、山の麓数キロ先の村は、漆黒の闇に包まれていた。

真夜中近く、一日の疲れを癒す人々はほとんど甘い夢の中。市街地より遅れをとる農村で、誰が真夜中まで起きているだろうか。

だが段家の山荘内は明かりが灯り続け、段老以外の全員が少しも眠気を感じていなかった。

皆、無意識に山の下を見つめ、車のヘッドライトが早く見えることを願っていた。

一時間前、段家の長男から電話があり、飛行機を降り、山荘へ急いでいると告げられたのだ。

段家の長男が真夜中に帰宅するのは初めてで...