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1357話

「まだ食事してないの。

食べてから行こうよ、いい?

おい、聞こえてる?

耳が聞こえないのか?」

顔も洗わずに慌てて追いかけてきた李南方は、ようやくロープウェイの方へと足早に向かう岳梓童に追いついた。

しかし岳梓童は本当に耳が聞こえない人のように、彼を完全に無視し、くびれた腰をくねらせながら足早に前へと進んでいく。

李南方は少し後悔していた。

昨日山登りに来た時、おしゃれな岳女史はどうしてもハイヒールで来ようとしていた。彼が必ずスニーカーに履き替えるよう強く説得したのだ。万が一足首を捻ったりしたら、彼が迷惑することになるじゃないか?

彼女を背負って山を登ることになるのだから。

確かに、艶やかな美...