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1320話

谷全体の数千エーカーの田んぼには、全部で二本の道がある。

その二本の道は十字形になっており、桜粟谷を四つに分けている。

この二本の小道はどちらも砕石で舗装され、幅は一メートル半ほどで、二人が並んで歩くのがやっとだ。

李南方がいる日傘の場所は、ちょうどその十字路の北東側に位置している。

十字路から十メートルほど離れたところだ。

これまで隋月月が南山の方へ行く時は、いつもこの砕石の小道を通っていた。

しかし今夜は違った。彼女は小道から数十メートル離れた桜粟の花畑の中を選んだのだ。

月姉さんはなぜあちら側を通ったのだろう?

遠回しに言えば、日傘の下で眠っている李南方を邪魔したくなかったからだ。

率直...