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1315話

人間である限り、幽霊ではないなら、もう怖がるものなどないのだ。

岳梓童は国安の最精鋭エージェントであり、これまで大小様々な戦いを経験してきた。神をも殺し、人をも殺す、そんな彼女が恐れるのは幽霊だけだった。

しかも、目の前にいるのは李南方なのだ。

せいぜい、水銀のような月明かりの下で李南方がパンダ目になっているのを見て、彼女は苦笑いを浮かべただけだった。そして彼が恥ずかしさと怒りから反撃して、自分にも同じパンダ目を「プレゼント」してくるかもしれないと瞬時に察した。

頭の中で電光石火の思考を巡らせながら、岳梓童はすぐに二歩後退した。

たった二歩下がる間に、賢明で機転の利く、いつも最も効果的な逆ギレ...