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1304話

隋月月はもはや誰かに簡単に弄ばれる少女ではなくなっていた。彼女は一人の梟雄へと成長していたのだ。

もし女性にも「梟雄」という言葉が使えるならば。

かつてミン・ロウをヨーロッパへと誘拐したロシア人は、自分が単に利益に目が眩んでいただけで、二人の梟雄の誕生を促してしまうとは思いもよらなかっただろう。

一人は東洋の上島桜花。

そしてもう一人が、ゴールデントライアングルの隋月月である。

もし李南方がミン・ロウの捜索のために海外で死んだふりをしていなければ、上島桜花は変わらず、隋月月の野心もここまで膨れ上がることはなかっただろう。

まるで一つの饅頭から血なまぐさい事件が引き起こされるように、二人...