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119話

岳梓童がスイートから出てきたとき、李南方はほぼ食事を終えていた。

料理は半分以上食べていたが、ワインには一口も手をつけていなかった。彼は酸っぱくて渋い赤ワインが好きではなく、国産の白酒の方が飲みやすいと思っていた。喉を焼くような辛さと力強さがあり、腹の中で火のように燃え上がって、思わず歌いだしたくなるような。

もちろん、気分が沈んでいるときなら、天を仰いで罵ったり、大泣きしたりすることもあるだろうが。

岳梓童が近づいてきて、二つのワイングラスに赤ワインを注ぎ、李南方の前に差し出した。

彼女が注いでくれた以上、赤ワインがどれほど不味くても、李南方は顔を立てなければならない。グラスを持ち上...