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1174話

夕暮れ八時、太陽はまだ西の空にしがみついて沈むのを拒んでいた。

陽暦六月の中旬は、とても心地よい季節だった。

水中の蚊や虫はまだ大量に繁殖しておらず、裏庭の屋外プールサイドの籐椅子に腰掛けていれば、人前でのような姿勢を気にする必要もなく、優雅な足を机の上に投げ出し、左手にワイングラスを持ちながら、瞳を遠くへと漂わせ、自分の思いに耽ることができた。

すでに三十分ほど、岳梓童と賀蘭小新は言葉を交わしていなかった。

まるで夜の訪れとともに、二人の会話への興味も消えてしまったかのようだった。

風が急に強くなったのか、岳梓童の長い髪を揺らし、彼女の顔の半分を覆った。

いくつかのいたずらっぽい髪の毛...