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1111話

「私たちの花総を生死不明にした岳家主が、今、姑爷と某客室で二時間も籠っているわ」

深夜になった今、孤独な男女が防音設備の整った個室で二人きりでいるなんて、何が起きているのだろうか?

目に入った異性をすぐにでも押し倒したいと思う普通の人間なら、どうしても不健全な光景を想像してしまうものだ。

そして、そこから——快感を得られるなんて、考えないほうがいい。

彼らが得られるのは、より一層濃厚な不安だけだ。

「獣」という名の男性の神経を刺激する能力で言えば、スタイルの良い岳梓童でさえ、妖艶で魅力的な花総には到底及ばないだろう。

しかし、岳梓童の強みは若さにある。

彼女はまだ二十三歳になった...