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1080話

これは極めて普通のテーブルで、バー内の他のテーブルとまったく同じだった。

テーブルの上にはまだグラス一杯の酒と灰皿が置かれており、誰かがここに座っていたことを示していた。

隣には何も置かれていない空のテーブルが数卓あり、人も座っていなかった。だから本来なら岳梓童はこのテーブルに来るべきではなかったはずだが、彼女はそのぽつんと置かれた酒と灰皿を見つめ、少し迷った後、座り込んだ。

座ってから、彼女は自分がなぜこの席に座ったのかさえわからなかった。

このボックス席は彼女にとって何か魔力を持っているかのように、彼女を引き寄せて座らせたのだ。

「心想事成(思い通りになる)」という名の女性ウェイトレスがす...