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1061話

「何かあったの?」

今、精神的に相当参っている岳梓童は、引き出しから体温計を取り出した。

宗剛が静かな声で言った。「今日の零時、青山に大豪雨が降りました」

「そう?」

昼間は多忙を極める岳家の当主が、ある地方の零時の天気変化など気にするはずもない。

だが彼女は青山に豪雨が降ったと聞いて、心から喜んだ。

李南方と同じく、岳梓童も青山を故郷だと思っていた。

先日、某省の女子刑務所で賀蘭妖女を訪ねた時も、彼女は自分の故郷になぜ大雨が降らないのかと嘆いていた。彼女の故郷を潤してくれる雨を。

お嬢様がそこまで気にしているのだから、宗剛にも常に向こうの干ばつ状況を気にかける理由があった。

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