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1028話

花夜神が気絶から目覚めた時、楊棺棺の姿はもうそこにはなかった。

偉大なる王上がどこへ行き、彼女が気を失っている間に何をされたのか、花夜神はもうあまり気にしていなかった。

口の中に残る薄荷の香り、それだけで彼女は気絶中に王上から何かを飲まされたことを容易に推測できた。

王上が彼女に与えるものなど、何か良いものがあるはずもない。

きっと紅粉佳人よりもさらに苦しみをもたらす毒薬に違いなかった。

彼女はもう気にしなかった。

たとえ次の瞬間、しなやかな肌に黒い毛が生え、花のような顔が突然伸び、口から鋭い牙が突き出したとしても——花夜神はもう気にならなかった。

彼女が楊棺棺に向かって「可哀想...