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1013話

「荆紅命だ。」

杨棺棺のおぞましい鬼面を見つめながら、目を細めた荆紅命は淡々と答えた。

自己紹介の際、彼は決して自分の官職を名乗らず、ただ名前だけを告げる。

荆紅命という名は、今や「正義」と「殺神」の象徴そのものだった。

だが、荆紅命が世間で噂されるような、敵を背後から襲うことを潔しとしない正人君子だと思ったら大間違いだ。

老龍騰のあの連中は、誰一人として本当の正人君子などいない。

彼らが自らを正人君子と称するのは、勝利を確信できる時だけだ。そうすれば風格があるように見える。

勝算が五割を切れば、彼らは「正人君子」の仮面を足で踏みにじり、手段を選ばなくなる。

背後からの奇襲、目つぶし、股間への...