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804話

これはチャンスだ、しっかりと掴まなければ！

そう思い至ると、趙然はすぐに会社を出て、タクシーを拾い、紫荊花マンションへと急いだ。

だが車を降りてから、彼は自分が見落としていた細部に気づいた。

果物は鄭妍へのもの、花束は尹悦へのもの。結局、鄭妍のところへ行くのに手ぶらというわけにはいかない。ましてや和解のチャンスなのだから。

不安な気持ちを抱えながら、趙然はインターホンを押した。

しかし、ドアを開けたのは鄭妍ではなく、鄭菲だった。

「叔母さん、こんにちは。また来ました」

二人の視線が絡み合い、趙然は口元を緩めて笑い、素直に挨拶した。

鄭菲は彼の手にある花束をちらりと見て、口をとがらせながら、身を...