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635話

「まさか、あのデブ野郎はもう追跡を諦めたのか」

真偽を確かめるため、趙然と鄭菲はさらに十分ほど話し続けたが、その間ずっと孫徳の姿は見当たらず、二人はようやく安堵の息をついた。

「菲姉さん、あいつはもう行ったよ!」

半信半疑の様子の鄭菲を見て、趙然はにやりと笑った。「本当かどうか、試してみれば分かるさ」

そう言うと、彼は鄭菲を抱き寄せ、大きな木に彼女を押し付けながら、その体に手を這わせ、ゆっくりと揉みしだき始めた。

「菲姉さん、さっきは怖かった?」

鄭菲は形だけ抵抗してみせたが、すぐに抗うのをやめ、趙然のなすがままになりながらも、美しい瞳で警戒しつつ辺りを見回していた。

孫徳が去っ...