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620話

こっそり歩くことに専念している趙然を横目で見ると、夏筱雨の可愛らしい顔はさらに赤くなった。

下半身で考えるような行動を除けば、彼は……案外悪くない男性なのかもしれない。

買い物の時も、趙然はいつも夏筱雨に何が食べたいのかを先に聞いてから購入していた。

このような無意識の行動に、夏筱雨の心は徐々に複雑になっていった。

帰り道では二人とも無言だったが、夏筱雨の思考は絶えず渦巻いていた。

以前の趙然の行動と今の一挙手一投足を繰り返し比較すると、彼はあの大胆な行為を除けば、完全に気配りのできる模範的な好男子だということに気づいた。

「何を考えてるんだ?家に着いたぞ、ドア開けろよ」

ぼんやりしている夏...