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480話

広々とした部屋に一人きりで、詩妍はなぜか少し落ち着かない気持ちになっていた。

この慣れない感覚が彼女に、趙然に電話をかけるか、それともLINEでメッセージを送るべきか、そんな思いを抱かせた。

まだ決めかねていたその時、数歩先で突然着信音が鳴り響き、静寂を破った。

詩妍も驚いて、緊張した面持ちになった。

携帯を取りに立ち上がるほんの数秒の間に、頭の中で誰からの電話かと様々な可能性が駆け巡った。

この半月ずっと出張中の趙和頌だろうか?

それとも朝早くから出かけたらしい趙然?

もしかしたら、同僚の孟晩が急ぎの用事で?

あるいは8月に引っ越して以来、連絡を取っていない葉家の人たち?

しかし、携帯を手に...