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474話

「とるな。」彼女の腰に回していた手が急に力を込めて、止めようとした。

「いいえ、だめ。」詩妍は息を切らしながら趙然から身をもぎ離し、相手の表情が変わったことなど全く気にしなかった。

残された理性が彼女に告げていた。こんな遅い時間の電話は、学校の緊急事態か、それとも趙和頌からだと。

案の定、詩妍が携帯に手を伸ばすと、画面に躍っていたのは【趙和頌】という三文字だった。

詩妍は思わず数歩離れた趙然を見やった。夜の闇の中ではっきりとは見えなかったが、彼の表情がどうであるかは分からなかった。

心臓が激しく鼓動し、彼女は呼吸を整えようと努め、通話ボタンを押した。

「趙先生、あっ!」詩妍が座る間もなく、胸に...