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306話

「彼を誘わなかったら、後で知った時に、絶対に然が兄弟として薄情だって恨むだろうな」

「出てきたか?」

然は行きつけの屋台で三十分待ったが、まだ姿を見せないので電話をかけた。

「今行くよ、行くよ。父さんが車で出かけてて、今帰ってきたところなんだ。俺のバイク、お前のところにあるだろ!」

「わかったよ、来週には返すよ」然は目を白黒させながら言うと、電話を切った。

帆の方でもぐもぐと何か言ったが、しばらくすると車で屋台に到着し、個室に入ると、然がすでに一人で酒を飲み始めているのを見て、座るなり瓶に口をつけた。

「然さん、一体何の話ですか?」

「何人か調べたいんだが、人手が足りなくてな」

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