




4話
冬月も終わりに近づき、今日は林浩が新婚旅行から戻って初めて出勤する日だった。彼と辛悦は今月初めに結婚し、多くの親族や友人に見守られながら、二人は晴れて夫婦となった。
林浩のオフィスはそれほど広くなく、たった四人だけだ。一人目は初めて会った李秘書、李晴という二十九歳の女性で、長年付き合っている同級生の彼氏がいて、そろそろ結婚するだろうと思われていた。残りの二人は四十代の男女で、定年まで勤め上げようとしている王姉さんと周兄さんだった。
普段、林浩は李晴とのやり取りが多かった。李晴は若くて有能で、ショートヘアが似合い、仕事もテキパキとこなした。
林浩は新婚旅行で買ってきたお土産を王姉さんと周兄さんに配り、李晴に渡す時にはウィンクをした。李晴はすぐに自分のプレゼントが他の二人と違うものだと察し、茶目っ気たっぷりに「ありがとう、新郎様」と言った。
林浩は体を傾け、頭を少し傾げながら隣の部屋を指さして彼女に尋ねた。「いらっしゃる?」
李晴は彼が誰のことを言っているのかを理解していた。みんな二人の関係を知っていたのだ。彼女は頷いて「いらっしゃいますよ」と答えた。
林浩は頷いて席を立ち、部屋を出た。
「どうぞ」ノックをすると中から返事があった。
林浩がドアを開けると、蘇玉竹が向かいのソファに座ってお茶を飲んでいるところだった。彼女はいつも薄化粧で、元々肌が綺麗なところに簡単な化粧を施すだけで自然な美しさがあった。髪はいつものように肩に流れ、足元には黒いヒールのブーツ、黒いレギンスにカーキ色の長めニットを着て、胸元には銀色のブローチを一つつけていた。シンプルで上品な装いだった。
「社長」林浩は呼びかけた。
蘇玉竹は微笑んで言った。「外部の人がいない時はそんな風に呼ばなくていいわ」
「叔母さん」林浩は言い直した。
「出勤したのね。旅行はどうだった?」
「とても楽しかったです。昨日は帰りが遅くなって、叔母さんのところにご挨拶に行けなくて。悦悦は朝早くから出勤してますが、私からご挨拶するようにと言ってました」林浩は冗談めかして言った。
この期間、林浩と辛悦は彼女の家族とうまくやっていた。蘇玉竹は威厳があるものの、彼に対しては常に穏やかで、そのため林浩も話しやすくなっていた。
蘇玉竹は聞いて言った。「悦悦はいつもそうなのよ。あなたの方が落ち着いているから、何事も彼女に気を配って、譲ってあげてね」
林浩は急いで言った。「いえいえ、彼女は少し遊び心があるだけで、とても理解のある人です。うちの家族みんな彼女のことが大好きですよ」
「うん、あなたが彼女を見ていてくれると安心だわ」
しばらく雑談した後、林浩はすぐに仕事に戻った。会社で彼女と長く話していると、やはり少し落ち着かない気持ちになるからだ。
林浩は辛悦から聞いていた。蘇玉竹は小学校から大学まで常に優秀で、大学時代は学生会長も務めていた。美しさも相まって、彼女に好意を持つ人は少なくなかった。
しかし彼女のクールな性格から、実際に追いかける勇気のある人はほとんどいなかった。
大学卒業後、彼女はビジネスを始めた。蘇玉竹の父親は彼女をよく理解していて、彼女の能力なら必ず成功すると知っていた。将来地位が高くなりすぎて年齢も上がると、良い縁談が難しくなると心配し、早くから友人に頼んで彼女のために男性を探していた。
蘇玉竹は自立心が強かったが、お見合いには反対せず、毎回会いに行った。そして実際に一人と出会った——それが辛悦の叔父の沈思文だった。
沈思文は才能ある人物で、初対面で蘇玉竹に惹かれ、熱心に追いかけ始め、徐々に関係が進展していった。
辛悦によると、蘇玉竹は当時、沈思文が十分に誠実で言うことを聞き、子供の面倒を見て家庭を守ることができると思い、そんな人と結婚するのも悪くないと考えたのだという。
蘇玉竹は運動が大好きで、朝のジョギングやヨガを長年続けていた。前回、林浩が戻ってきたら一緒に朝のジョギングができると言っていた。林浩は彼女と同じ勤務時間だったからだ。沈思文は文学の仕事をしていて運動は好きではなく、辛悦に至っては言うまでもなく、夜更かしはするが朝起きて運動するなど考えられなかった。