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991話

「李銀玲はここに二年以上いるから、もう隅々まで知り尽くしているのよ」

「ああ」と私は声を漏らし、理解した。つまり単純に任務の割り当て、ノルマの設定というわけだ。

李銀玲は私の手を引いて建物を通り抜け、裏手の中庭へと案内した。

裏側には庭園があり、それほど広くはなかった。脇には小さめの講堂があり、私はてっきりそこが後方支援部門の領域だと思っていたが、実は会議場だったのだ。

庭園には長期療養中の女性客がかなりいて、スーツ姿の私を見ると、何人かが耳打ちしながら私の方をチラチラ見て、時々頬を赤らめていた。

李銀玲は行き交う人々に頻繁に会釈をしながら、私の手を引いて小走りに会場へと急いだ。

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