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919話

「お前、本当に何も見えないのか?信じないぞ!」阿平兄は口元から飛び散った血を拭いながら罵った。「そのハッタリで随分と人を騙してきたんじゃないのか?」

「ふん、お前こそそのツラで散々人を騙してきたんじゃないか?」

俺は冷笑いながら言った。「酒瓶で不意打ちか。お前の裏社会での立ち回りってそんなもんか?今の裏社会もそんなに腐ってるのか?」

「俺は…!」

阿平兄は言葉に詰まった。裏社会で生きるには人柄が大事で、時には普通の会社よりも厳しい掟がある。だが阿平兄のような酒瓶を蹴って不意打ちするような、あの手慣れた動きは明らかに日常茶飯事だろう。間違いなく卑怯者のクズだ。

「何も分かっちゃいないな...