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820話

「ブラジャーをしていないわ」

眉をひそめた私は、本能的に何かやっかいなことに気づいた気がした。

「その表情、何か発見したの?」韓錦繍が目を見開いて睨みつけてきた。危うく正体がバレるところだった!

幸い、長い間偽装を続けてきたおかげで、経験も積んでいる。

「いいえ」

自分の耳を指さし、適当な言い訳を考えた。「実はこういうことなんです。私は目が見えなくなりましたが、その代わり耳の感覚が鋭くなりました。むしろ前よりも敏感になったと言えるかもしれません。だから、シャツとブラの摩擦音が聞こえないとき、症状が悪化しているのかなと思ったんです。ブラをつけるのも辛いほど痛むのではないかと」

「以前にも同じよう...