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776話

「早く出てって!」

芊芊が叱りつけると、私は慌てて手に持っていたものを置き、急いで自分の部屋に戻った。

自室に座り込んだ私にとって、時間が異常なほど遅く感じられた。

複雑な気持ちを抱えながら、葉紫が買ってくれたトレーニング器具を手に取り、必死に体を鍛え始めた。

全身汗だくになっても、さっきの光景は頭から離れない。芊芊が言葉にできないところを撫で、テレビドラマのラブシーンを見ながら想像を膨らませ、徐々に天国へと近づこうとしていた姿が。

彼女が自分を慰めているとき、誰のことを思い浮かべているのだろう?

この疑問が湧いた瞬間から、胸の中の高鳴りを抑えることができなくなった。

しばらくドアの前で様子を...