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609話

「はい、もしもし」と私は電話に出た途端、若者の声が響いてきた。「王老、雪梨です!」

「雪梨か!」私は思わず興奮して声を上げた。

「王老、今日病院建設についてお話しした件、社長に報告しましたところ、問題ないとのことです。今後、病院建設に関しては、すべて王老のご意見に従うということです」と雪梨は言った。

「本当かい?」私は声を震わせた。

まさか秦天命がそこまでの権限をくれるなんて。本当に今回は恩人に巡り会えたんだ。

そう思うと、私の顔にすぐに笑みが浮かんだ。「雪梨、ありがとう。病院のことだが、いつから始められるかね?」

「それは王老のご都合に合わせます。社長が特に言っていたのは、王老は...