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601話

「大丈夫だよ、老王。今、時間ある?宿舎まで送ってもらえないかな」と私は少し困ったように言った。

本当は自分で歩いて帰るつもりだったが、体に全く力が入らないことに気づいた。一歩歩くだけでも全身の力を使い果たすほどだった。

老王は首を振って言った。「いや、老王、もう動かない方がいい。明日送るから。今は顔を洗う水を持ってくるよ」

老王の言葉を聞いて、私はもう無理を言わずに頷いた。

老王は出て行って水を一杯汲んできてくれた。水は少し冷たかったが、私には異常に心地よく感じられた。その冷たさが、痛みで熱くなった顔に絶妙に混ざり合った。

洗い終わると、老王はわざわざ私の顔を拭いてくれた。私は全身の...