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281話

「身を捧げる必要はない。ただしっかり勉強すればいいんだ」

私はもう五十代半ばになり、世の中のある種の物事には見切りをつけていたつもりだが、この件に関しては少し無力感を覚えずにはいられなかった。私は彼女に言った。「これからも保健室で働き続けなさい。お金は払うから。お母さんの治療費が足りなくなったら言ってくれていい。気が引けるなら貸してあげると思えばいい。将来、余裕ができたら返せばいいし、無理なら返さなくていい」

実は私も韓欣のお母さんを治療したいと思っていた。だが彼女の今の状態では私も確信が持てない。それに私が治療するにしても大量の薬材が必要で、やはり多額の費用がかかる。正直、手を出すのが怖...