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214話

「ダメ!」宋可欣が突然叫んだ。

私はその場に立ち尽くし、宋可欣が何を言おうとしているのか分からなかった。考え込んでいると、冷たい手が私の腕をぎゅっと掴んだ。瞬時にそれが宋可欣の手だと理解した。彼女は震える声で言った。「王おじさん、行かないで、怖いの!」

私も参ったな。

もう直接腕を掴まれて、しかも行かせてくれないとは。

「蝋燭はどこにあるんだ?まず火を付けようか」私は仕方なく言った。

宋可欣は私の声から不機嫌さを感じ取ったらしく、なんと自ら私の腕を彼女の胸に押し当てた。私の腕が思わず動いた。非常に柔らかく温かい。宋可欣は「うぅん」と声を漏らしてから言った。「家に蝋燭がないの。停電するなんて思っ...