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1558話

小沢さんに付いて厨房に入ると、すぐに忙しく立ち働く様子が目に入った。料理人たちが次々と料理を作り、様々な香りが厨房いっぱいに広がっていた。しかし、小沢さんが入ってくるとみな静かになり、この五つ星ホテルが小沢さんのものであることが窺えた。

小沢さんは嘲るような目で私を一瞥すると、近づいてきた料理長に小声で何かを告げた。料理長は最初こそ困惑した表情を浮かべていたが、すぐに小沢さんの意図を理解したようで、私を見る目から先ほどの友好的な雰囲気が消えていた。

「若いの、俺と料理の腕を競うつもりか?いいだろう、まずは俺が豆板醤と唐辛子で味付けした魚の頭を作る。お前がこれを超えられたら、勝ちにしてやる」...