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1333話

「はい、はい、ええと、その、ちょっと手持ちが厳しくなってたんで、蔡のおやじが賭場でサクラやらないかって誘ってきた時、二つ返事で承諾しちゃったんです。あ、違った、埠頭の蔡三、埠頭の蔡三っていう陰険な小物なんですよ。あいつが俺を捕まえて、無理やり自分の賭場のサクラにさせようとしたんです。断れるわけなかったんです」

黄子安はさすが話術に長けた男だ。概念のすり替えが実に巧みで、最初は自らサクラになったという事実を露呈しながら、すぐに埠頭の蔡三に強制されたという話に切り替えた。まったく、厚顔無恥もいいところだ。

私はテーブルを軽く叩きながら質問を続けた。「埠頭の蔡三とはどういう人間だ。正直に話せ」

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