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1273話

「ずる賢く哀れな振りをする大婆を見て、私は腹を立てて袖を払って去った。

だが、通りに出たところで、向こうから一群の人が駆けてきた。

彼らは見るからに着るものが粗末で、基本的には半袖のシャツに一本のズボン、朝からサンダル履きで、見たところ日に焼けて全身が黒くなっていた。

間違いなく、彼らは埠頭で日雇い労働をしている連中だ。私も工事現場で働いていた頃は、首も手も真っ黒に焼けていたが、今は二年間大人しく暮らして、また白くなってきたものだ。

「くそ、逃げろ!誰かの野郎が埠頭で火をつけやがったんだ。俺たち、どうすりゃいいんだよ。捕まったら絶対、俺たちのミスだって言われるぞ」彼らは走りながら話していた。

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