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1019話

私は頷いたが、やはり高価格帯の車では国産車を選ぶ人は少ない。紅旗のような背景と意味合いが非凡な車を除いては。

「行こうか。はぁ、養生館には二回行ったことあるけど、従業員として行くのは初めてだわ」

車が紫雲養生館に着くと、柳如是は落ち着かない様子だった。おそらく心境の切り替えがまだできていないのだろう。これまでは尊敬される客だったのに、今度は他人を敬う従業員になるのだから。

地下駐車場から一階に上がると、私は東端にあるオフィスを指さした。

「あそこで燕姉さんを探して。会ったことあるでしょ。最初の面接をしてくれるよ」

それから西側にある大きな人事部の看板を指して言った。

「それから人事部で...