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69話

「この爺さん、俺たちの電動バイクが盗まれるのを見てたのに助けてくれなかったんだぞ」私は卓嵐に向かって、かなりイラついた様子で言った。

その老人もまた変わり者で、両手を腰に当てながら言い返してきた。「なんでだ?なぜ俺がお前を助けなきゃならんのだ?親切に教えてやっただけでも十分だろう。お前、俺に車の見張り代を払ったのか?」

「はいはいはい!」私はすっかり呆れ果てて言った。「爺さんの勝ちだよ。バイクが盗まれたって教えてくれてありがとう。そうじゃなきゃ、あと30分も探し回ってたところだ」

「そうだろう」老人は私に忠告するように言った。「感謝することを覚えろ」

すると卓嵐は本当に老人に向かって一...