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305話

狐の尻尾がついに見えてきた。この知らせを受けた時、私は嬉しいのか悲しいのか分からなかった。嬉しいのは卓嵐がついに徐飛宇が本当はどんな人間なのかを見極められること。悲しいのは卓嵐が裏切りに直面しなければならないことが辛いからだ。

櫻嵐の取締役会は三日後に開催される予定だった。この三日間、私は櫻嵐の動向を常に注視していた。何度も卓嵐の電話番号を見つけては、別の携帯から彼女に電話をかけようとしたが、すべて我慢した。

櫻嵐の取締役会の前日の夜、私はエイミーのバーで呆然と座っていた。暇だからではなく、こんな夜に静かに家で休むなんてどうしてもできなかったからだ。

夜の九時半、冉静が一人でエイミーのバ...